シグマ 山木和人CEO "Quattro センサーについて" - 2014年 2月 CP+ 講演 Play Back
本ポストは2014年2月に開催されたCP+でのSIGMA 山木社長による講演、"Quattro センサーについて"の各スライドごとのスピーチをおおまかに書き出したものだ. スクリーンショットは2月14日版から切り出したもので, スピーチ内容は同14日版と16日版 両方を合わせたものになっている. 骨子は全く同じで, 重要でない枝葉のみ多少異なる. 本ポストは完全な書き下しではなく, 文として成立させるため投稿者が適宜言葉の追加・削除を行っている. よって投稿者の理解不足・誤解によって書きおこされた内容が正しくないこともありうる点をあらかじめご了承の上, 不明な点は先ずビデオをあたられたい. 尚, 投稿者ノート(メモ)は[TN]としてマークした.
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- Quattroセンサーは構造が複雑なので, ちょっと今までとは違うのではないか, ベイヤーっぽいのではないか、そんな話があるがそんなことはない.
- Foveon Quattro センサーはFoveonX3テクノロジーの系譜である, ということを伝える. それがメインのメッセージ.
- 今日のプレゼンテーションは3つの構成に分かれている.
- 1. Foveon X3テクノロジーとはどういうものなのか. Foveon センサーのごく基本的な話.
- 2. Quattroセンサーは今までのX3テクノロジーと何が違って何が同じなのか.
- 3. カメラについてご紹介をする.
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- FoveonはSIGMAの100%子会社.
- シグマのカメラに搭載されているセンサーをすべて開発している会社.
- ファブレス. 工場は持っていない.
- 設計開発をやる.
- 独自の3層構造フルカラーセンサーを世界ではじめて開発して, いまでも開発している.
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- 一般的な, SIGMAのカメラ以外で使われているセンサーはだいたいこんなようになっている.
- 光の強弱だけ, コントラストだけを捉えられるモノクロームセンサー.
- 色の情報を取るために光の三原色である, RGB カラーフィルターをその上に載せて, 各ピクセルで1つの色を取りこむ.
- そのまま絵にするとモザイク画になるので, ちゃんとしたカラーにするために, 類推色補完 - デモザイクともいう - をして写真をつくるという原理になっている.
- デジタルカメラが出たころ, 90年代後半, まだまだデジタルカメラは画質が悪いと, フィルムには絶対かなわないといっていた人も非常に多くいた.
- そのなかの1つの根拠がこの構造にあって, 光の三分の一しかとりこまない構造, これがある限りはフィルムのような豊かな絵はとれないとよく言われたいた.
- [TN]: ほぼ等価のの説明が http://www.sigma-sd.com/SD1/system.html にある.
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- Foveonセンサーは, 縦方向に3層構造になっている.
- 言ってみればフィルムと同じような光の取り込みかた.
- デジタルカメラもフィルムと同じように3層構造で撮れたらいいのにな, とある意味夢物語的に語られていた時代があった.
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- 翌日4月2日に, だまされた? という記事をだして, 昨日出した記事は実は嘘なんだエイプリルフールなんだ.ここに書いてあるのは全部自分の考えです.
- 最後のところに, 「こんな3層構造というのは実際には無理だと思います」というようなことが書いてあって, 最後括弧書きで, これを読んでいるメーカーの人でこれが出来ると思う人がいたら僕にemailしてね, で終わっている.
- このときFoveonは3層構造の開発に着手していたので, 実際に当時のマーケティングマネージャーがemailした. そのときPhil Askyはすごい驚いたといってましたね. もちろんNDAを結んで, こんなことやってるよといった.
- それくらい夢として語られていた3層構造だった.
- [TN]: URL of this page: http://www.dpreview.com/news/2000/04/02/fooled
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- カリフォルニア シリコンバレーにあるサンタクララ.
- サンタクララ大学の目の前にオフィスがある.
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- 目の断面図
- 網膜の中に網膜中心窩という場所がある. 網膜の中で一番解像度が高い, 一番高精細なものを見られる場所.
- 人間の視細胞には, おもに明るいところで高精細なものを見ることが出来る錐体という細胞と, 暗いところで暗いものをみられる桿体という2つの視細胞がある.
- 高精細なものを見られる錐体が一番多く集まっているのが, 網膜中心窩.
- 英語で言うと, Fovia Centralis.
- つまり, 網膜中心窩のように, 解像度の高い, 世界で一番高精細で解像度が良くて高画質なイメージセンサーやカメラを作ろう, といって出来た会社.
- Foveonの創業の理念が, 一番高精細で高解像度なカメラ, イメージセンサーを作るということ. 今日のプレゼンテーションのポイントはここ.
- 実際には, 最初の社名はFoveonじゃなくて, Foveonicsだった. 最初からカメラを作ろうと思っていたので, カメラメーカーっぽい名前にしようと途中で考えが変わって, キャノンにしてもニコンにしても, 隣のタムロンさんにしても, -onで終わっているよと. -icsをとってFoveonという名前に変えた.
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- 彼らが最初に作ったカメラがこれ. プリズムカメラと呼んでいる.
- ラップトップにキャノンのレンズがついたカメラ.
- その当時世界最高解像度のカメラと彼らは呼んでいた.
- 値段も非常に高くて, よく覚えてなくて調べられもしないのだが, 確か200万円とか250万円とかしたと記憶している.
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- 何がプリズムか.
- カラーフィルターを入れると光が三分の一しかとりこめない. 光をカットせず全部取り込めるようにしよう. しかも色も後から類推するのをやめる.
- 入ってきた光をプリズムで分光して, 3つのCCD RGB色の全部載せてあとで絵を作ろう.
- 全然技術的にうまくゆかなかった.
- アッセンブリもシリコンバレーでやったがなかなか歩留りが上がらない. ビジネスとして成り立たなかった.
- 会社もちょっと危機にたたされた.
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- どうしようかと考えていたときに, Dick Merrillが3層構造のイメージセンサーのパテントを出した.
- シリコンは光の波長の短い方から順に表面から吸収するという特性を持っている.
- その特性に着目してシリコンで3層で光を取り込むというのをパテントとして出した.
- もともとはナショナルセミコンダクターのトップエンジニアで, シリコンバレー界隈で非常に有名な方だった.
- いつも難しそーな顔をして社内を歩いていて, 社内ではマッドサイエンティストとも呼ばれていて非常に有名な方.
- でも本当に人柄は素晴らしい方で, 私が行っても, おぉ和人きたのかぁとかいって声をかけてくれて, サンノゼに出来たラーメン屋おいしいから行ってみろよーといって, わざわざラーメン屋のビジネスカードを渡してくれて, 日本人いっぱい来てるから絶対うまいはずだといって教えてくれたりした.
- 本当に優しい, 素晴らしい方だった.
- ただ普段からラフな格好をしていてだいたいT-シャツにショートパンツというような恰好で社内をうろうろ歩いていた. 非常に社内では有名だったのだが, ある時新入社員が入って, Dick Merrillさんをみつけて掃除のおじさんと間違えて, ゴミ箱をちょっとこれ片づけといてと言って. 彼は普通だったら, トップエンジニアですからね, エグゼクティブに一番近いところなので, 何言ってんだっていえばいいのに, この人ユーモアがあるので, ははっかしこまりましたってゴミ箱もっていって捨てていて, それを見た周りの人が, Dickお前なにやってんのと. いや, あいつにさ, ゴミ箱捨ててって頼まれたんだよ, って言われて, 周りがびっくりして, その新入社員のところに行って, おまえあれは大変な人なんだぞと言われて顔が青ざめたという事件があるくらい, 非常にユーモアのある方.
- 残念ながら2009年癌でお亡くなりになっている.
- 当社と最高性能のカメラを一緒に作りたいという非常に希望を持っていたが, 残念ながら亡くなった.
- 今のMerrillシリーズは, この方の業績に敬意を払ってMerrillという名前をつけている.
- もう1つエピソード. シグマの工場は福島県の会津にある. いまだにオールメードインジャパンでやっている. この方, はじめて日本に奥様と来た. これはシグマとジョイントのプロジェクトをはじめた直後くらいだった.
- 成田空港について, レンタカーで車を借りて一番最初に向かったのが会津若松市だったそうだ. 当時の彼は, シグマとプロジェクトを始めたというのは知っていたが, シグマの工場が会津にあるとは知らなくて, 行った. 珍しいですよね? ふつうは東京とか京都とかゆきますよね? でもなぜか色々調べて会津という土地に惹かれた, ということでまっすぐ成田から会津に向かったと.
- で帰ってきて, 当時コダックのコダック・プロフェッショナル部門にあったデジタルカメラ開発をしていた人達とミーティングがあった. 時期としてはちょうどまだNikonさんがD1を出した直後くらい.
- 会津若松市の鶴ヶ城とか猪苗代湖とか, そういう写真を撮って帰ってきたあとに, 役員会で, 今のデジタルカメラは, ここが駄目なんだ, こういうところを直せばもっといいものになるんだということをプレゼンテーションした時に使ったのが会津の写真だった.
- その役員の中に, シグマとのプロジェクトを始めるということで, シグマの工場にご招待した人がいた. で, あれっこれ会津じゃんていうことになって, そうだよ, 俺この前観光で行ったんだと. いやいや, そこシグマの工場があるところだよといって, みんな驚いたというくらいに, すごく不思議なご縁を感じるMerrillさんなのでした.
- Merrillさんは, パテントは出したけど, 実現は不可能だと思っていたようだ. なかなか実際の製造・製品というのは難しいと思っていたようだ.
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- もう一人, Dick Lyon という方がいて, これできるはずだと, こういう風にすればできるはずだということを言って, 役員会で予算をとってプロジェクト化した.
- [TN]: Quattro の発表があった後、 Dick Lyon本人がdpreviewで主に技術的な観点からコメントをいくつか残していたので、そちらも和訳した。ご参照あれ。
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- SD9の特徴
- もちろん世界初の三層構造のFoveon X3センサーを搭載している.
- 当時としては圧倒的な解像度.
- ローパスフィルターが無い. この時シグマは, ローパスフィルターはすごく害がありますと, いい写真をとるにはローパスフィルタがないというのはすごく重要なんですよと訴えたが, これを理解してくれる人は当時非常に少なかった. エンジニアの人は分るのだが, レビュワー, 雑誌社の方, とても難しかった.
- 12年前から, シグマはローパスフィルター無しを謳っていた.
- Raw専用機で全部パソコンで現像しなきゃいけない. これは大変怒られた. この後LightRoomやApature, SilkyPicsが出てきてRAW現像が良いものなのだという認識が広がったが, 当時は皆JPGだった. JPGが入っていないカメラなんて誰が買うのかと怒られた. 実際販売数は, ご指摘の通り少なかった. そういう変態チックなカメラだった.
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- ここからちょっと技術的な話になる.
- 先ほどのプリズムカメラが, 縦型に積層されたものと理解してもらってもいい. データをとる(センシングができる)のは確実に1020万画素分.
- CFAセンサー => カラーフィルターアレイセンサーのことで一般的にはベイヤーセンサー・ベイヤーパターンと呼ばれているセンサー. それに換算するとだいたい680万画素くらい.
- ピクセルロケーション 340万画素の2倍, この数字を覚えておいて欲しい.
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- 2007年新しいセンサーを開発して, SD14に搭載
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- 横軸年号
- 縦軸は Foveon センサーは一般のものとは違うので, 一般的なカメラに置き換えた場合の解像力はどれくらいなのかをプロットしている.
- 2002年SD9 680万画素
- 2007年 SD14 920万画素
- 2011年 SD1 Merrill 3000万画素 一気に飛躍
- 2014年 dp2 Quattro 3900万画素相当の解像力. 普通のイメージセンサーの換算で約30%解像力が上がっている.
- Quattro センサーは Foveon ぽくない, ベイヤーぽくてひよったんじゃねえかとか言われるが, 実際にはそんなことはなくて, 正真正銘のX3テクノロジー.
- そして解像度があがっているということを示すためにこのスライドを用意した.
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- Quattroセンサーの仕様
- 今まで BGR と呼んでいた層を, このセンサーからは, トップ・ミドル・ボトムと呼ぶことにする.
- トップレイヤー1960万画素, ミドル 490万画素, ボトム 490万画素, 総画素数は2940万画素.
- だけど解像力は, 一般的なCFAセンサーに換算すると, だいたい3900万画素相当ということになる.
- ここは分りにくい.
- 今までは, トータルのピクセル数は多いけど, 実際の解像力を一般的なカメラと比べると, 落ちる.
- Quattroセンサーは, トータルのピクセル数よりも, 実際の解像力があがるということで, ここがシグマのカメラをずっと使っている人にはちょっと分りずらい. ここをこれから説明したい.
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- なぜFoveonセンサーは解像度が高いのかを説明する.
- 何故Quattroセンサーは, ピクセルロケーションとして, 1960万画素, 約2000万画素のものが, 他社のカメラで, 3900万画素の解像力があるのかを説明する.
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- 一般的なセンサーは, カラーフィルターがのっかっていて, RGBの中の1つの色だけを取り込む. ですので, 光の三分の一だけを取り込むという仕様になっている.
- Foveon X3テクノロジーは, 3層ですべての光を取り込む.
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- 何故緑を多く入れるのか?
- 人間の目は, 緑色に相当する中間波長に一番高い解像度を持っている.
- これが人間の目の主観度の分布表
- 横軸が波長 左から短い波長で左が長波長側
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- ちょっとテストします.
- 同じコントラストで, 色をつけただけのもの.
- 緑, 赤, 青の順番で細かいものが見える.
- 人間の目がそういうコントラストをだしている.
- 人間の目が見ているディテールを一番捉えられる緑を, 多く取り入れましょうということで, ベイヤーセンサーは緑を50%, 赤と青を25%ずつ入れていく, ということになる.
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- この人間の目の特性を見つけて, より多くの緑の解像度, ピクセル, フィルターを置いたというのが, このベイヤーセンサーの画期的なところ.
- ですが, 解像度の高い情報をキャプチャーできる緑のセンサーは一個飛びになっている.
- 一方Foveonの方は全部.
- ベイヤーセンサーの方は, サンプリング周波数が二分の一という言い方をしてもいい.
- ですので, 平面上で同じだけピクセルがあれば約2倍の解像度があると説明しているのは, これが根拠.
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- Foveonで10MPであれば, 一般的なセンサーで20MP相当の解像力がありますよと.
- 今回 Quattroセンサーは, 20MPで, 一般的なセンサーの40MP相当というところにあたる.
- 表面のピクセルロケーションが 1960万画素 (約2000万画素) あるので, 一般的なセンサーに引き直すと 3900万画素相当の解像力がありますというのがこの説明になっている.
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- Quattroセンサーの特徴
- 従来と同じ3層構造.
- RGBが1:1:4という構造になっている.シグマが最初にFoveonセンサーを出したとき以来の革新性.
- サイズはAPC-Sサイズ.
- CFAセンサー換算比で, Merrillと比べて約30%解像度が上がっている.
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- Quattroセンサーの構造
- 色としては, 青・緑・赤というカラー情報をキャプチャーする.
- トップレイヤーは輝度情報, あるいは解像情報(ディテール情報)と, 青い色情報を両方取り込む.
- トップレイヤーが2つの役割を持っている.
- ミドルレイヤーはグリーンの色, ボトムレイヤーは赤の色をキャプチャーする.
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- 先ほどの仕様のおさらい.
- ディテール情報は2000万画素相当あるので, CFAセンサーと比べると3900万画素相当あるという根拠はこういうことになる.
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- なんでこんな1:1:4なんて構造をとったの? 今までと同じ1:1:1でいいじゃない?
- 巨大化するデータサイズ. 今回のトップレイヤーの2000万画素を1:1:1で作ると, おおよそ, 6000万画素相当のデータサイズになる. 非常に大きなサイズだ. Quattroは1:1:4構造することによって, 約3000万画素相当のデータサイズに抑えることに成功している.
- 今でもただでさえ遅いといわれている処理時間. ファイルサイズを小さくすることで高速化に成功している.
- 今回はTRUEIIIというプロセッサも導入していて, こればパワフルになっているということもあるのだが, dp2 Quattroで, ”平均的な”RAW画像, RAW画像は被写体によってファイルサイズがかなり変わるが, 平均的な画像を撮った場合の処理時間はだいたい5秒くらい.
- 今のDP2 Merrillは, データの読み出しから書き込みまでおよそ12秒なので, 半分以下位に高速化されている.
- 消費電力も改善していて, バッテリーが, ちょっと大きくはしたが, まだ最終的な開発をやってみないとわからないが, およそだいたい一回のチャージで200枚くらい撮れる.
- 信号特性の改善. 当然ながらミドルとボトムはより大きいフォトダイオードがあるので信号特性が良くなる. ということで若干高感度特性も良くなっている.
- シチュエーションによっても違うので何とも言えないのだが, およそ, だいたい, 皆さんが使っていて平均的に1段分くらい改善したのかなというのは実感していただけると思う.
- 正直言って, 高感度はホントに苦手です. 他のカメラと比べてノイズはかなり多い. これは認めざるを得ない.
- 信号特性を改善したけれど, それほど高感度は良くない. これは100, 200, 400ぐらいまで, 安心して使っていただけるカメラ. 特に100, 200位で撮った時には, その「画質」というのはどのカメラにも負けないものをもっていると考えている.
- あとQuattroセンサーが違うところは, MerrillセンサーではベースISO(基本感度)が ISO 200だった. 100で撮るとちょっと白とびがしやすかのだが, Quattroから100になっている. ですからISO 100から安心してガンガン使っていただきたい.
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- Quattroセンサー, 1:1:4にしたが, 維持しようとしたこともある. ここが重要.
- それは何かというと, 質感表現.
- シグマのカメラで撮ったものはともかく質感表現がいいと評価を受けている.
- 質感, モニターでもプリントでも, そこにものがあるような, 岩でも, 錆びついた金属でも, まさに金属のクロームの表現でも, 水面とか, 氷とか, こういったものの質感がすごくいいと, 評価いただける.
- これがシグマのカメラの特徴的なもので, シグマ内部では, Foveon Lookと呼んでいる.
- 端的に言うと, リアリズムのある表現, これがFoveonセンサーの特徴となっている.
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- じゃなんでFoveonセンサーは質感のある画像が出せるのか?
- まずはマイクロディテール(解像力). これが重要です.
- デジタルカメラが1000万画素を超えたあたりから, いやいやそんなにね, 画素数上げなくてもいいじゃないの? これたくさん聞きました. まあ800万画素あれば十分でしょうと. あとはデータサイズがでかくなっちゃって使いずらいよ.
- 確かにデータサイズがでかくなると使いずらいのですが, 「殊, 画質」に関しては, 解像力は正義なんです.
- 解像力が上がる, ディテールが多い方が, 「必ず」, ホントにリアリズムのある画質になる.
- 写真として, しっかりとした質感のあるものになる
- これは, 低解像度のカメラでは, 「絶対に」出来ない.
- Foveonセンサーは解像度が高いので, リアリティのある写真が撮れるというのが1つ.
- 夢としてかなり遠い夢ではあるが, 8x10で撮ったような, しかもこんなでかいカメラを持ち歩かないで済む, 8x10で撮ったような写真を撮れるカメラを作りたい. それがSIGMAの夢だ.
- 被写体に依らない一定したディテール表現.
- 解像力の話はシグマのカメラに限らずどのカメラでも同じなのだが, 被写体によってディテールの表現力が変わらない, というのはFoveonの特徴.
- 一般的なカメラの場合には RGB のサンプリングが1:2:1で, サンプリング周波数が異なるので, 被写体によってはすごくきれいに解像するところと, ちょっとした色の構成によっては, 同じようには解像しないとか出てくる. それは拡大したときくらいしか見えないけれど.
- そこの, 小さいマイクロ・ファインディテールがちゃんと出るか出ないかっていうのが, 最終的にリアリズムのある絵になるかどうかの違うを生む, そうSIGMAは考えている.
- 被写体に依らない一定したディテール表現がFoveonセンサーの特徴.
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- dp2 Quattroで撮った写真
- エンジニアが撮ったのであんまり美しい写真ではないが, 分りやすくしたんでしょう.
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- ちょっとモニターだと分りずらいかもしれないが, まさに
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- 被写体に依らないマイクロディテールが出ると, いうことに成功しています.
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- 右側がdp2 Quattroでとった写真.
- 左側が, 2000万画素のデジタルカメラでとった写真
- シグマのカメラは, よく, フォトダイオードの位置, ピクセルロケーションが2000万画素しかないんだから, 2000万画素のカメラなんでしょ, とよく言われる.
- 日本の方はわりと優しくて, もうちょっと解像度高いんですというと理解してくれるが, けっこう海外だと, いやいや, これは絶対2000万画素のカメラだと, 言われちゃうことが多いのだが.
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- 拡大したもの.
- 右側の方が, 2000万画素のカメラより, きちっとしたディテールが出ているというのが, ちょっとわかりずらいかな?モニターの解像度にもよるのだが, よりディテールが出ている, より立体感がでる, というのがなんとなく感じて頂けるのかなと.
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- ここから, Foveonセンサーのことを知っている方向けに技術的な話をする.
- なぜトップレイヤーで解像情報を取れるのか?
- さっきベイヤーで説明したとき, Greenが解像度が高いから, Greenじゃないの? RGB 1:1:4じゃなくて, 1:4:1じゃないの?という話なのだが.
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- これはちょっと謝らなきゃいけない.
- これはFoveonセンサーの分光感度表
- Top, Middle, Bottom, この特性はFoveonセンサーを最初に作ったときから全く変わっていない.
- ですので, 今までは, Blue, Green, Redと呼んでいたが, 実際にはもっと広い感度を各層が持っている.
- ですので, 純粋な青とか言っていたのは, 正直言うと間違いだった. それを正すためにもRGB層というのをやめて, Top, Middle, Bottomというふうに言い変えそうと思っている.
- まさにここが肝.
- Top layerですでにディテールの情報の感度を持っているので, 輝度情報, ディテール情報はとれる.
- なので, 今回Top layerで輝度情報, 解像情報, ディテールが取れる, というふうになっている.
- なんで上なのか? というと, 上が一番信号特性, S/N比が良くとれる. ので綺麗な画像をとれるので, きれいなところで一番のディテール情報をとろうということで, 今回Top layerを4つにしている.
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- Quattroで色解像度は落ちない.
- でもなんで落ちないか分りずらいと思う.
- 1:1:4なので, GreenとRedの情報は, たかだか500万画素しかない. 絶対違うじゃん. 1:1:4だから色解像度は落ちるでしょと.
- Foveonセンサーの一番の特徴である, RGBが均等にサンプリングされるのとは違いますね, というのですが, それはそうはならない.
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- Quattroセンサーがどうキャプチャーするかという概念図
- Topレイヤーで輝度情報とブルー, ミドルでグリーン, ボトムで赤を撮った後,
- TRUE IIIの画像処理で, このトップレイヤーで取ったディテール情報と, それぞれの色情報を掛け合わせて,
- 最終的な, 4:4:4の画質を作り出す.
- ですので, 構造としては, 1:1:4だが, 最終的な画質はこのように4:4:4の画質になる.
- トップレイヤーのディテール情報は, すべてそのまままっすぐ降りてきた情報になるはずで, これは「正しい」ディテール情報になるはず.
- 色は, 色相と明度と彩度の3つで決まるが, ちゃんとした情報がそこに来るので, 画像処理でやっても「補完」ではなくて, 「正しい」情報が4:4:4で作り出される.
- ちょっとアナロジー的にはなるが, 構造的には 1:1:4という構造をとっているのは, もともとの4:4:4をロスレス圧縮しているのと同じ.
- そのロスレス圧縮したものを TRUE IIIで「解凍」して, 最終的に4:4:4の解像度を得ている.
- 実際にはこういう簡単な話ではないのだが, アナロジー的には, そういう説明ができる.
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- DP2 Merrillと, dp2 Quattroの解像度の説明.
- 両方とも, ディテールのところが非常にきれいに, ディテールになっているのが分ると思う.
- DP2 MerrillはPicture Hightで3150本解像している.
- dp2 Quattroは3650本解像している.
- 解像度が高いということがお分かりいただけると同時に, 非常にきれいなディテールになっているというのが, Foveon X3, 4:4:4の画質だからこういう風になると言っていることと同じ.
- これが解像度がQuattroで上がっているということの証拠.
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- もう1つ, 色解像度が落ちているのではないか? 1:1:4だから, 違うのではないかということについて.
- そうじゃないという証拠はこれ.
- 参考までに, 3600万画素のベイヤーセンサーを使ったカメラで同じところを撮っている.
- だいたい解像度は同じくらいなのだが, ディテールの出方がずいぶん違うのがお分かりいただける. ここに偽色とかモワレと呼ばれるものが出ている.
- これはもともとベイヤーセンサーがRGBを1:2:1でキャプチャーしている. 色によってサンプリングしている周波数が異なるので, それによって色にじみが生じる.
- それとピクセルのロケーション, 色のロケーションが違うので色ずれが生じ, 偽色が発生する.
- Quattroの方は出ていない.
- もしもQuattroセンサーの解像度が落ちている, 1:1:4のままであればここに偽色がでてくるはず. ここに偽色がでていないということは, 最終的な画質で4:4:4の画質にできている. 今までのX3と変わりませんよ, というのがこの証拠になる.
- ですので, Foveonセンサーのことをよくご存じの方は, ベイヤーっぽいなーとか, ベイヤーになっちゃったんだとか, 心配されている方はどうぞこれを見て安心していただきたい.
- 今回の革新的な構造によって, データサイズを軽くして, これから, 更にピクセルを増やす, 更にディテールがとれる, 夢の中判とか, ちょっと相当遠い夢ではあるが 8x10, そういうところまで, 安心して突き進める, そういうテクノロジーを手に入れた.
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- センサーと同じくらいレンズは重要
- 今カメラはピクセルをどんどん増やしている
- でもレンズが解像しないと意味がない.
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- イメージセンサーとレンズは車の両輪と同じくらい重要.
- dp2 QuattroはDP2 Merrillと同じレンズを採用しているが, これはとりもなおさずDP2 Merrillに搭載されたレンズの解像度が十分高いからだ.
- DP2 Merrillに入っているレンズは現代に販売されているレンズの中で, もっとも高解像度なレンズだといってもいいくらいだ.
- DP3はもっとすごい.
- DP2, DP3はそのまま使っている.
- DP1だけ設計変更した. dp1 Quattroは新しいレンズ構成になっている.
- レンズとセンサー, どっちかの解像度が落ちてもいい写真は撮れない. SIGMAは交換レンズにも力を入れていてご評価もいただいているが, ちょっとやりすぎじゃないの?そんなカリカリにあげなくてもいいんじゃない?みたいな声もきかれるこれども, やはり高解像度なsensorを積んでいるカメラであれば, 高解像度なレンズをやらないと意味がない. やりすぎと言われるかもしれないが, これからも, レンズは古典物理の世界で生きているので, そんなに簡単には上がらないのだけれど, これからも高解像度なレンズを追及してゆきたいと思っている.
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- TRUEIIIも今回開発.
- ホントに, 新規開発の技術のてんこ盛りなのが dp2 Quattroだ.
- 画像処理センサー, Quattroセンサーをsupportする画像処理エンジンだ.
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- 非常に変わった形をしているというご評価を頂いている.
- それが故に変態カメラ, 海外ではUGLYとか言われていて, なんかUgly Cameraとかタイトルが出てすーごいショックを受けた.
- 一番考えたことは, 画素数があがれば上がるほど, ちょっとしたピントのずれや手ぶれ, すごく目立つ.
- ほんとに3000万画素以上のカメラを使うと, ちょっとしたものがすごく見える. ですので歩留りが下がる.
- ですので, しっかりと右手でグリップして, 左手でレンズを支えて, きちっと撮る. こういうスタイルをお客様の撮影スタイルと想定して, でこういう形で後ろに出っ張らせて, レンズを出しました.
- 今試作品を週末にテストしているが, 使えば使うほど手になじんできて使いやすい. 気持ちいい. 最初は少し違和感があるかもしれないが, ちょっと待って欲しい. 2日から3日つかってこれいいじゃんとなってからTwitterにつぶやいて欲しい.
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- それ以外はもう機能美に徹して全部そぎ落としている.
- たしかにMerrillより大きくなっている.
- このバックエンドに入っている, センサーから読み出した画像を処理するバックエンドのシステムは, 大手のカメラメーカーさんのプロが使う超ハイスペックマシンとほぼ同じシステムがこの中に入っている.
- センサーの読みだすところにアナログ・フロントエンドというチップが4つ配置している.
- バッファーメモリに2Gbit DDR3規格の2Gbitのメモリを2つ.
- 前段処理の画像処理チップが1つ入って, 後段処理のチップにTRUE IIIが入って, さらにそこに同じくDDRの4Gbitのメモリをまた2つ載せている.
- これはホントにハイスペックカメラと同じ基盤・回路規模のものを, ぎゅっと小さくしてここに入れている.
- デザインではなく, 機能主義の塊と考えていただければ.
- 大きいと思われるかもしないし, でけえとかTwitterでつぶやいていただいてもいいのだが, この講演を聞いていただいた方は, スゴイ技術がこんなコンパクトな中にはいってんだぜと, いうのも, できればつぶやいていただけると, ありがたい.
- 検索でみつけたら, 私の方でRTしておきます.
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- 最後のスライド
- レンズ一体型カメラのアドバンテージを説明したい.
- レンズ交換式は本当に素晴らしいカメラだ. シグマは, 「レンズを変えれば写真が変わる」と, ずっと言ってきた. そういった意味ではシステムカメラというのは素晴らしいのだが,
- こういった一体型のカメラにもアドバンテージはいっぱいある.
- 専用構成のレンズを設計できる. これは分りやすい.
- レンズの光軸, 結像面に完璧にイメージセンサーをアラインメント(調整)できる. これは組立て, ラインで全部1つ1つ調整して出荷している.
- 普通のレンズ交換式のカメラは, フランジ面(マウント面)に対してイメージセンサーを調整して出荷している.
- 交換レンズは光軸をきちんとマウント面に対して調整して出荷している.
- だからマウントというのはホント重要.
- シグマのレンズのマウントパーツはすべて真鍮のパーツを使っているのだが, それが理由だ.
- アルミは使っていない. それくらい, マウントのメカ精度は非常に重要.
- 高精細なカメラになればなるほど, マウントのメカ精度は非常に重要で, メーカーは本当に苦労していて大変.
- いずれにしても, メカ精度に頼っているというところでは, このように完璧に調整しているというのにはかなわない.
- ですから, 中心から周辺まで, 完璧に解像度が出るというのは, このレンズ一体型カメラの特徴になる.
- ミラーショックがない. 一眼レフはミラーが動くので, 解像度が高いカメラは非常に難しくなる.
- レンズシャッターなので, 非常に小さいシャッターが入っている.
- レンズ交換式はフィーカルプレーンシャッター, これも比較的, ちょっとショックが大きい.
- AF精度が高い. これはミラーレスカメラと同じ. 一眼レフカメラの場合は別のところに, ミラーで分光したAFセンサーが別のところにあって, そこでピントをとっている. ミラーレスと同じように写真を撮るところでピントを合わせているのでAF精度が高い.
- シグマのカメラは, 色々オート機能がないので, デジタル画像からはじめて, カメラのオート機能に慣れた方だと, つかいづらいとか, じゃじゃ馬とか色々いわれて, 買ったけどすぐ売っちゃたとか, よくTwitterとかで見て, すごい心を痛めている.
- 確かに使いずらいカメラではあるとは思う.
- だた申し上げたいのは, 本当に高精細な画像, High Resolutionな画像を撮るには, こういったことが恩恵として働いて, (それ故 SIGMA dpは)もっとも簡単に高精細な画像を撮ることができるカメラだ, ということは言い切れる. これを申し上げたい.
- これは自分で使っての実感. 一眼レフはレンズがバタバタレンズが動くので, ブレなく, ピントを正確にあわせて撮るというのは, けっこう大変.
- 私はあまり写真の腕があまりよくないので苦労するのだが, dpは歩留り高い. 本当にびしっと写真が撮れる.
- 一番難しいけど, 一番簡単なカメラ(一番簡単に高精細な画像を得られるカメラ)という, ちょっと訳のわからない結論で, プレゼンテーションを終わりにしたいと思う.
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